途中で足がもつれそうになりながらも


私はとにかく走って、走って、


なんでもいいから、あの場所から離れたくて



「藤原さん!!!」



仲本の呼ぶ声が聞こえて、私は思わず足をとめた



息が苦しいのは、


走ったからだけじゃない



後ろから聞こえてくるのは


きっと仲本の走る音。


後ろが見れなくて、


日が沈んで、暗くなり始めた空の作る


影をじっと見るしかできなかった


「…ごめん…っ」


どうして仲本が謝るの、と

言おう思って振り向こうとしたとき


背中に、暖かいものを感じた。