自分の中の箱に
閉じ込めていたものが
一気に溢れ出す
初めて先生と言葉を交わしたとき
郁のことを話す先生の
やさしい微笑みの意味も
『郁の友達だから』私を知りたいと言ってくれた意味も
先生が夏祭りに一緒に行くなんて、少しおかしいと思っていたのに
あの夏祭りの日
仲本と去って行く郁を見る
悲しそうな先生の瞳の意味も
わかっていたのに
気づかないふりをして
自分のなかの、見えない場所に
閉じ込めて
見ないふりをして
知らないふりをしていた
でも、もうそんなこと
しても無駄なんだ
だって今、先生は
郁に会いにきてるじゃない
先生としてなんかじゃないんだ
そんなの、目を見ればわかることだもの

