不器用な君と不機嫌な私



「…京介に、……藤原…?」



突然後ろから声がした



私の、大好きなひとの、声。



「やっぱり、

俺たちが心配する必要なんてなかったみたいだ

帰るよ、

じゃあね」



仲本はそう言っているけど


私は


先生の手に持たれた紙袋から



目が離せなかった。




紙袋に書かれた、


あのロゴマークを


どこかで見たことがあるから



思い出しちゃだめ、香織


そう自分に言い聞かせても


無駄だった



あの甘い味のするマカロンは


先生が

郁にあげたものなんだ