不器用な君と不機嫌な私



そこにいたのは確かに郁で



同じ顔をしているのに



私の知らない少女だと、


一瞬で感じた。



「なんで、……かおりんが、いるの…?」


冷たい瞳で私を見る、郁。



見ているのではなく、

睨んでいるようだった。



「…えっ…と、あのね、郁」


「帰って。」



「え…?」



郁の視線の先にあるのは


仲本の手に持たれた私の鞄だった。


「こんなとこまで来て、なんのつもりなの?


答えて」