不器用な君と不機嫌な私



「あーっ香織っちおはよーん!」

信じられない。


まさか挨拶されるなんて思ってもみなかった。


無視をするとか以前に、驚きで思わず声を漏らす。


昨日あれだけ失礼なことを言っておいて、

よくもまあこんなに爽やかすぎる挨拶ができるものだ。



だいたい、香織っちって



なんなの。



「は…?」


「あれ!?ちょっと!!」


「な、なに!?」


そして今度はいきなり髪をつかまれる。

もう何が起こっているのかわけがわからなかった。


「なんで今日巻いてないの!?昨日ちょー可愛かったのに!

っていうか…
嘘でしょ…ラインどころかマスカラもしてないし…!!
昨日のかおりんはどこ行ったのーっ!!」


「え、いや」


「ちょっと待って!ほら!立つ!スタンドアップ!!早く立って!!」

そう強引に促されて思わず素直に立ち上がってしまった。


「スカート長っ!!」


「あの」


「ねえ、ちょっとどういうつもりなの、かおりん。

昨日あーんなに可愛かったのに
まるでこれじゃどっかの中学生じゃん!
っていうかそれ以下!

いくらイメチェンだとしても、これは、ない!





そして思い切り西村郁は机を叩いた。


「昨日のかおりん出しやがれ!」