不器用な君と不機嫌な私


「な、仲本…?」


仲本は立ち止まると私の腕を掴んだ。



この感覚を私は知ってる



体育祭のときと


同じだ。


なにかを望むような目をしている仲本。


「嫌なら帰ってもいいから」


「どうして…?」


「さっきから、不安で仕方ないんだろ、」


「なにが?別に不安とか」


「俺があんたを見てないとでも思ってるわけ」


「………え…?」


「顔見れば、わかるから。


少し、怖いんだろ。

別に無理して行く必要なんてないから





「…私は、なにも知らないの」




そう言うと、腕を掴む力が緩んだ。