教室に入ると、一人の男子と目が合った。
たしかあれはキョンとかいったっけ。
私の姿を見ると、思い切り
顔を歪ませた。
ありえない、とでもいうように。
なに?悪い?
地味ですよ、でもこれがこのクラスじゃ普通なんだから。
それでもやっぱり少し傷ついた。
あんなに露骨に嫌な顔をされたのは初めてだったから。
「おっはよーん!」
ジャンプしながら教室に飛び込んできたのは、やっぱり西村郁。
その挨拶に返事をするのは、派手な男子たちだった。
蛍光色で彩られたリュックには、
よくわからないキャラクターのストラップがついていて、
歩くたびにチャラチャラと音がした。
いや、だめだ。
みてはいけない。目を合わせてはいけない。
だって
ろくなことがない。

