不器用な君と不機嫌な私



「藤原さん、おはよ」


靴箱の前でそう挨拶されたけれど、初めて聞く声だった


誰かと思えば、クラスの地味な女の子その1。


これって、すごい。


すこし自分を変えただけなのに
ここまで効果があるなんて。


「あ、おはよう」


「私、たか子。よろしくね」


「うん、よろしく…」


精一杯の笑顔を作ってみせたけど、かなり辛い。


たか子という名前が似合いすぎるその容姿。


真っ黒のつやつやした髪に
黒くて太いゴムで1つ結び。

前髪と呼べるものは、どこにもなかった。


むき出しになったおでこは

ニキビ1つない綺麗な肌。

そこは少しうらやましいと思ったんだけど。



ーーーー絶対上辺だけの関係得意でしょ!


ふと頭に浮かぶ西村郁の
昨日の言葉。


うるさい


あんたには関係ないじゃない