不器用な君と不機嫌な私



そして郁についてわかったことが一つ増えた。


実は、隣の駅に住んでいたのだ


あまりの近さに驚いたけど、まず地元のお祭りなわけだし


近くて当たり前か。


「あ!!かおりん!!」


郁の住む駅で待ち合わせると、下駄のカランという音を立てながら

郁がやって来た。


「うんっ!やっぱりかおりんだった!」


「え、なにが?」


「ううんっ、可愛いっ!」


郁に言われると、たまにお世辞なんじゃないかと思ってしまうことがあった。


だって私、郁に比べたら

可愛いとは程遠い。


「郁も可愛いよ、浴衣似合うね」


「えーっ!ありがとーっ」



いつかこんなふうに


素直にお礼が言えるようになりたい