ありがとう


光の揺れる先を、目を凝らしながら進んだ。

しかしそこには数時間前に見た景色はなくなっていた。

乱雑に置かれた丸太の階段も、土砂崩れに巻き込まれ痕跡すら残さずに消え去っていた。

2人は焦った。

その焦りは異様なものだった。

まさに死ぬつもりであった彼女、死ぬための理由を探して家を飛び出した彼。

お互いが自分の命など必要とせず、お互いが相手の命を助ける方法だけを模索していた。