ありがとう


「あ、うん」
「明日まで…いるかな」
何も考えていなかったのだが、咄嗟にそう答えてしまっていた。

明日も会えるかもしれないという気持ちが、彼の中に僅かでもあったのだ。

「じゃあ、明日の朝また来るね」
そう言うと、彼の返事も待たずに美咲は去っていった。

遠くで振り向き手を振る美咲を見ながら、不器用に片手をあげて返事をした。

火は既に消え、月明かりだけが彼を照らしていた。