ありがとう


ジャブァァン!!

人気もなかったので倒れるように背中から入った。

飲めそうなほど透き通った水が、何度も汗にまみれた体を包み込んでは静かな音色を奏でながら通り抜けていく。

全てを洗い流してくれるような気がした。

そのまま眠ってしまえそうな気さえした。

目を閉じ列を作った蟻のペースとほぼ同じにゆっくりと流されながら、見付からないように隠してきた母宛の手紙を思い出していた。
タイミングを見計らって電話をし、隠し場所を伝えるつもりだったがまだ実行できずにいた。