ありがとう


ヒゲは彼の目を見つめたまま、口を閉ざしていた。

「この人はね、本当に君のことを思って私に教えてくれたんだよ」

警官の握る手にギュッと力が入った。


「嘘だ!!そんなの嘘だ!!!違う違う違う!!」

僕は叫んだ。
何度も何度も叫んだ。

血の味が口内に広がり、嫌な臭いがした。