ありがとう


「なんですか…?」
僕はゆっくり起き上がると、下顎に長い白い髭をぶら下げた仙人のような風貌の男を、爪先から頭の天辺までをじっくりと見た。

「なんでじゃねえ。お兄さんがくたばりそうだったから2日間看病してやったんじゃねえか」

あまりにも鋭利な口調に一瞬だけ驚いたが、自然と悪意はなく、それどころか優しさすら感じられるほどだった。