ありがとう


「ごめん。全く持ってないや…。いつか必ず返すから貸してくれないかな…?」

美咲は顔色を窺うように静かに聞いてきた。

「そのくらいなら僕が出すから大丈夫だよ」

彼にとってはあまりにも貴重な資金であったが、1人旅をしているという建前と、何とかしてやりたいという気持ちとがそんな発言をさせていた。