何かが顔を焦がす。 あまりの熱さに飛び起きると、遮られることなく天からの光が彼の顔目掛けて降り注いでいた。 両手の平で額から頬を経由して通り抜け顎までを撫で付けると、熱は何処かに散って行った。 数秒ほど停止していたが状況の把握は早かった。 慌てて左の袖を捲ると、時計の短針は北西辺りを指している。 「まずい!」 家を出てから初めて発した言葉だった。