校門を出ると、涙が溢れた。


アタシ、こんなに優貴のこと、好きだったのかな。


アタシは夕姫奈の働いているキャバクラに向かった。


家に帰りたくなかった。


一人でいることが、嫌だった。






渋谷。



チャラチャラしている、女や男達で溢れかえっている。




『〜sea paradise〜』

ゴールドの横文字。


綺麗な白い壁。


白く豪華な階段。


大きなシャンデリア。



大きくて、豪華な扉を開くと、目の前にはきらびやかなドレスを着た、綺麗な女達が並んでいる。


『いらっしゃいませ。』


『夕姫奈は?』


『夕姫奈…………。麗奈のことですか。今、お呼びいたします。』

源氏名は麗奈というらしい。

その女達は気を遣ったのか、私を奥の接客ブースには案内せず、大理石の廊下の向こうにある、黒を基調としたバーに案内した。



しばらくすると、淡いピンク色のドレスを着た夕姫奈がゆっくりと歩いてきた。

顔が少し赤くなっている。


『由月、どうしたの?』

心配そうな顔で、隣に座る。

『別に。一人で居たくなかっただけ。仕事中ごめん。』



『全然いいよ。むしろ感謝する。シャンパン飲まされて、フラフラしてたとこ。』

夕姫奈は笑いながら、言う。


『未成年のくせに。』

アタシは小声で囁く。


『あ〜!ちょっと!』

夕姫奈は焦りすぎて、席を立ち上がっている。


『大丈夫!言うわけないじゃん。』


アタシはふざけたように笑う。

『由月、今ここにいるってことは学校サボり?』

『まぁ……気まずかったみたいな。』

『あの転校生のせい?』
夕姫奈はイタズラな笑顔で笑う。


『別に。理由は特にない。』



『そっか。あっ、そうだ!一緒に帰ろ?』


『仕事は?』

『もう終わり。時間制だから。じゃあ着替えてくるから、少し待ってて?』


『うん。』


夕姫奈は小走りで廊下の手前の扉を開け、入っていった。