『これから……』



夏休みはあっという間にすぎた。


先生のことを考える暇がないように、受験勉強とバイトの毎日だった。




「零…眠いよぅ」


私の後ろでは欠伸をしている未来がいる。



「う…ん、眠いねぇ…」


未来の欠伸が移ったのか私も大きな口を開けて欠伸をした。




『それでは教育実習生の方に自己紹介していただきます。』


教頭がそう言うと舞台の上に現れたあの人。



「ちょっと?!零!!


あれって浩兄じゃない?!」


………お兄ちゃん。



「そうだよ…。

うちのお兄ちゃんだよ?」


私ははぁ~と溜め息をつく。



「はっ?!え……??

全然意味分かんないんですけど…。


なんでうちの学校に浩兄がいるのよ…?」


未来は浩兄と連呼する。



浩兄とはうちのお兄ちゃん。



未来も海斗も大和もお兄ちゃんとは顔見知り。


小さい頃によくみんなで遊んだ記憶がある。


だから3人とも”浩兄”と親しみを込めて呼ぶんだ。