『おじゃまします。』


俺は秋平先輩の家の中に足を踏み入れた。



『浩介…格好良くなったなぁ。』


秋平先輩は俺を下から上まで見るとこう呟いた。



『やめてくださいよ。』


そんな感じで久しぶりの再会を喜ぶ俺たち。



俺と秋平先輩の関係。



それはただの部活の先輩と後輩。


俺は秋平先輩を慕い、
先輩は俺を可愛がってくれた。



俺は家でいろいろあると部室でよく暴れていた。


そんな俺を秋平先輩は黙って殴り飛ばした。


それから俺に手を差し出して、言ったんだ。


『物に当たったところで何か解決するか?

なぁ、浩介。

もうちょっと大人になれよ。』


俺はこの言葉を聞いた瞬間、一生この人についていこうと胸に誓った。



でも俺は家を出て1人で上京した。



最後に別れを告げに秋平先輩の家に行った。



秋平先輩は涙を流し、


『大丈夫だ!頑張ってこい。』


と、俺の背中を押してくれた。



それから数年。


相変わらず格好いい秋平先輩。



いつまでも俺の憧れの人。



そして零の元彼。



今日、秋平先輩に会いに来た理由は零のこと。



いくら先輩でも零を泣かせるなんて兄貴として許し難い。