そして午後の授業はあっという間に終わった。



「零、行こっか!!」


教室にいると未来がやってきた。



私は鞄を持ちゆっくりと立ち上がる。



そして久しぶりに調理室へ行く。



久しぶりに通る階段。

久しぶりに通る廊下。

久しぶりに通る空港が見える窓。



すごく、懐かしい。


高3になってからは家庭科の授業がなくなった。



だから本当に調理室に行くことはなくて、



先生にも教室以外で会うことはなかった。



「ん?どうしたの?零??」


私の足は自然に止まる。



「ううん。

なんでもない…。」


調理室が近づくにつれて足が重くなっていく。



どうしたんだろう……。



すごくドキドキする。



「リラックス、リラックス。」


未来は私の肩に手を置いた。



「深呼吸して、深呼吸。」


未来に言われた通り深く息を吸いこむ。



そうすると少しだけだが身が軽くなった気がした。