「なんですか??」



手を動かしながら先生の方を見る。




『何を見てるんだ?』




「え…………………??」

先生の言っている意味が分からなかった。



『だってお前いつもここの前の窓から外見てるだろ??

俺が来たことにも気がつかずに哀しそうな目で外じっと見てるから…』



先生は私から視線を逸らす。




「…………………」



黙り込む私。




『別に言いたくないならいいけど…』




「………ここから見えるんです…」




小さな声で呟いた。



『何が見えるんだ?』




「空港が……見えるんです」




調理室は4階にある。



だから少し離れた空港に飛行機が

飛び立つのや、着陸するのがよく見える。




私は陸上部に所属している未来を待つとき
毎日、無意識に調理室の前の窓から空港を眺めていた。