…ところで、だ。

なんでこの子はマフラーを3つも持ってるんだろうか?


首にかかったのと、左手には2つ。
しかも、全部値札付いてるじゃないか。

何で呼び止められたかより、そっちが気になってしまう。
引っ張られて崩れたマフラーを直しつつ、呑気に眺めた。


「あっ!マフラー!」

俺の視線に気付いたのか、女の子は表情を凍らせた。
小さな声で「持って来ちゃった」と呟く、あからさまにヤッチャッタって顔。


「おにーさん、これ。」
見覚えのある…というか、俺の財布を差し出した女の子は、道のだいぶ先を指差すと、「落としましたよ」と続けた。