【樹】 翌日。学校。 「はよー樹」 「おはよ」 俺が教室に向かう途中に色んな友達とすれ違った。 だけど、昨日の感覚が消えなかった。 他人とすれ違うたび、嫌な音が聞こえる。 あの女性の声のように、 地の底から響いてくる声―― それはまるで、他人の心の声のようだった。