水原にしっかりと捕まれたまま、教室を出る寸前のところで、俺は呼び止められた。 「ま、待って!」 「「ん……?」」 水原と同時に振り返ると、息を切らした紺野が少し離れた場所に立っていた。 「どうしたの?」 水原が声を掛けた。 「あの、海波君に用事が……」 「俺?」 「う、うん。ダメ、かな……?」 「いや、別に」 紺野は、俺がそう答えると、安心したように息を吐いた。 そして、3呼吸分待って、口を開いた。