「海波君」

「ありがとう」


紺野の口から出たこの言葉は、思いと共に熱を持って俺の耳に届いた。


その熱に浮かされたのか分からない。

でも、気付いた時には紺野を抱き締めていた。


「み、海波君!?」

「お、おい!海波!?」

「…………」


驚いて声を上げる、紺野。
周囲に居た、海風高校の生徒たちも驚いているのが分かった。

だが、俺は驚くほど落ち着いていた。