黒崎さんと私と、二人して柏木君を見ていたら、
「聞こえなかったんですか? 柏木の家に行ってください」
柏木君はイラッとした感じで黒崎さんにそう言った。
「すみません。かしこまりました」
黒崎さんはそう言って前を向き、ハンドルを握ると車は静かに走り出した。
「柏木君、どうして……?」
私が小さな声でそう聞くと、柏木君は表情のない顔を私に向け、
「その格好で帰ったら、家の人が心配するだろ?」
と言った。
確かにそうだ。たぶん家には母がいて、私のこの姿を見られてしまう。
制服は泥で汚れ、ブラウスが破れた姿を。顔だって、泣いて酷い事になってると思う。
学校で何かあったのか聞かれるに決まってるけど、佐藤君達にされた事を、母には知られたくない……
「聞こえなかったんですか? 柏木の家に行ってください」
柏木君はイラッとした感じで黒崎さんにそう言った。
「すみません。かしこまりました」
黒崎さんはそう言って前を向き、ハンドルを握ると車は静かに走り出した。
「柏木君、どうして……?」
私が小さな声でそう聞くと、柏木君は表情のない顔を私に向け、
「その格好で帰ったら、家の人が心配するだろ?」
と言った。
確かにそうだ。たぶん家には母がいて、私のこの姿を見られてしまう。
制服は泥で汚れ、ブラウスが破れた姿を。顔だって、泣いて酷い事になってると思う。
学校で何かあったのか聞かれるに決まってるけど、佐藤君達にされた事を、母には知られたくない……



