放課後、俺は迎えの車に紗耶香さんを乗せ、そのまま川島美咲が通う高校へ行った。


その高校の理事長に会うと、祖父から話は通っているようだった。


初老の理事長はやたらと愛想がよかったが、おそらく祖父が相当な額の寄付を申し入れたのだろう。


俺が「明日から来たい」と言ったら、理事長は急な話で面食らっていたが、強引に了解してもらった。


そして、俺は理事長にある事を頼んだ。それは……

川島美咲と同じクラスで、席もすぐ近くにする事。もちろん、俺の頼みである事は秘密にして。


理事長は慌てて生徒の名簿をめくり、川島美咲を探すと、担任に指示して便宜を計ると言った。

「私は隼人さんの隣にしてください」と、すかさず紗耶香さんは言っていた。


帰りの車中。

「どうやってその子を懲らしめるの?」


と紗耶香さんから聞かれたが、


「決めていません」


と俺は答えた。実際に決めてなかったから。


「いずれにしても、紗耶香さんは邪魔をせず、俺がする事に口を出さないでください」


と言うと、紗耶香さんは渋々という感じで、「分かった」と言った。