赤くなった顔を、柏木君に見られたくなくて、下を向いたら


「ここに寄って行こうか?」


と柏木君は言った。


彼が言った“ここ”とは、通りに面し、木に囲まれたこじんまりした児童公園だった。


私は通学の途中、そこで遊ぶ子供達をよく眺めていたけど、中へ入った事は一度もなかった。


私が返事をする間もなく、「さあ」と言って柏木君は私の肩を抱いた。


私はびっくりしたけど、私の肩を掴む彼の強い力に、抗う気にはなれなかった。


昨日、佐藤君に肩を掴まれた時に感じた嫌悪感は、なかった。むしろ……心地好ささえ覚えていた。