初恋の行方〜謎の転校生〜

「隼人さん!」


私が内心でパニックになっていると、本庄さんが慌てた様子で後ろから柏木君の腕を掴んだ。


「紗耶香さんは黙っていてください」


本庄さんは柏木君からそう言われると、彼の腕から手を放し、私をキッと睨んだ。


私は何が起きているのか理解出来ず、目をパチパチしていると、


「川島さん……」


と柏木君から名前を呼ばれ、彼を振り向いた。

そして柏木君は真面目な顔になり、こう言った。


「川島さん、ボクとお付き合いしてください」


私は既視感(デジャヴュ)で、目眩を起こしそうだった。


柏木君の言葉は、あの日の悠人君の言葉と同じだったから。しかも、顔も声もそっくりで……


私はあの時、悠人君を拒んでしまった。自分に自信がなくて、“はい”と言えなかった。


あれから3年。私はずっと後悔していた。なぜ素直に“はい”と言えなかったのか……


だから、私は言っていた。


「はい」


と。