「あれは後悔しておる。昔のわしは、さっきの紗耶香さんと同じ考えだった。わしは考えを改めたんだ」
「つまり、年取って丸くなったわけね?」
隼人さんがすかさずそう言うと、
「馬鹿者!」
お祖父様は怒鳴り、三度目だけど、隼人さんも私も、爺やさんまでビクッとした。
「いや、それもあるかもしれん。しかしそれよりもだな……」
そこで言葉を切り、お祖父様はなぜかニヤッと笑った。気のせいか、頬が少し赤くなったように見える。
「実はな、わしにも恋人が出来たんだ」
「………えーっ!」
爺やさんも含め、3人で叫んでしまった。
「近い内にここに住まわせるから、よろしく頼む。おまえ達とあまり歳は違わないから、話しが合うと思うぞ?」
「………えーっ!」
とまた3人で叫んだのは、言うまでもない。
「隼人」
お祖父様は真顔になり、隼人さんに声を掛けた。
「はい?」
「母親に言ってくれんか? 今度遊びに来い、と。亭主と、何と言ったかな、孫も連れて」
「ユキだよ」
「おお、そうだったな。伝えてくれるか?」
「わかった。すぐ伝えるよ」
「よかったね?」
私が小さな声でそう言うと、
「ああ、本当によかった」
そう言って、隼人さんは嬉しそうに微笑んだ。
(おしまい)
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
秋風月
「つまり、年取って丸くなったわけね?」
隼人さんがすかさずそう言うと、
「馬鹿者!」
お祖父様は怒鳴り、三度目だけど、隼人さんも私も、爺やさんまでビクッとした。
「いや、それもあるかもしれん。しかしそれよりもだな……」
そこで言葉を切り、お祖父様はなぜかニヤッと笑った。気のせいか、頬が少し赤くなったように見える。
「実はな、わしにも恋人が出来たんだ」
「………えーっ!」
爺やさんも含め、3人で叫んでしまった。
「近い内にここに住まわせるから、よろしく頼む。おまえ達とあまり歳は違わないから、話しが合うと思うぞ?」
「………えーっ!」
とまた3人で叫んだのは、言うまでもない。
「隼人」
お祖父様は真顔になり、隼人さんに声を掛けた。
「はい?」
「母親に言ってくれんか? 今度遊びに来い、と。亭主と、何と言ったかな、孫も連れて」
「ユキだよ」
「おお、そうだったな。伝えてくれるか?」
「わかった。すぐ伝えるよ」
「よかったね?」
私が小さな声でそう言うと、
「ああ、本当によかった」
そう言って、隼人さんは嬉しそうに微笑んだ。
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秋風月



