初恋の行方〜謎の転校生〜

壁を背にして、白髪が見事なご老人が大きなひじ掛け付きのソファーに座っていた。この方が隼人さんのお祖父様なのだろう。


私はお祖父様にジロリと見られ、竦み上がる程恐いと思ったけど、同時に懐かしさみたいなものも感じた。


なぜだろうと思ったけど、すぐにその訳が分かった。お祖父様のお顔が、隼人さんや隼人さんのお母様に似ているからだ。


その部屋には、本庄さんもいた。


「祖父ちゃん、この人が川島美咲さんです」


「うむ」


「はじめまして、川島美咲と申します」


「うむ」


お祖父様は表情を変えず、“うむ”しか言わなかった。ご機嫌は良いのか悪いのか、私にはさっぱり分からなかった。


「祖父ちゃん、なんで紗耶香さんを呼んだんだよ?」


「わしは呼んどらん」


「え? じゃあ……」


そう言って隼人さんは律子さんを睨みつけ、律子さんはスッと隼人さんの視線を外した。

どうやら律子さんが本庄さんに知らせたらしい。


「ま、紗耶香さんにいてもらった方が話が早かろう。座りなさい」


隼人さんはお祖父様寄りに座り、私はその隣に座った。本庄さんは隼人さんの向かいに座り、その瞬間、私をジロッと睨んだ。