初恋の行方〜謎の転校生〜

「美咲、どこ行くの?」


キッチンの前で母に呼び止められてしまった。


「彼に会いに行くの」

「そんな恰好で?」


と母が言うのはもっともだった。部屋着のスウェットにコートを引っ掛けただけだし、髪もきっとボサボサだから。

でも、そんな事に構っていられないと思った。


「彼がそこまで来てくれてるの」


髪の毛を撫で付けながらそう言うと、「あら、ま……」と母は目を丸くした。

そして、サンダルをつっかけ、玄関のドアを開ける私の背中に向かい、

「中に入ってもらえば?」

と言ってくれた。


玄関を飛び出した私は、隼人さんに駆け寄り、そのままの勢いで彼に抱き着いた。


「うわっ」

「隼人さん、ごめんなさい……」

「もういいよ、謝らなくて」


「私ね、悠人君の日記を読んだの。それで、勇気をもらったの」


「そうか? 妬けるけど、あいつに感謝しなきゃだな」


「あなたが好き。離れたくない」


「俺もだよ」


隼人さんは、私をギューッと抱きしめてくれた。