柏木君は真剣な目で私を見つめた。私は、紗耶香さんから聞いていたから、彼が話す内容は分かっていた。でも、彼の口からそれを聞くと思うと、やっぱり緊張してしまう。
「俺と紗耶香さんは……、婚約していた」
私はそれを聞いて、思わず「うそ!?」と叫んだ。
「驚いたろ? まだ高校生なのに、婚約だなんてな……」
「な、なんで過去形なの?」
私は柏木君達の婚約についてはもう驚かない。当たり前だけど。私が驚いたのは、柏木君がそれを過去形で言ったからだ。
「はあ?」
「柏木君、今“婚約していた”って言ったよね? “婚約している”の間違いじゃないの?」
「おまえが驚いたのって、そこかよ?」
「うん……」
柏木君は可笑しそうにクスッと笑ったけど、私にとっては笑い事ではなかった。だって、現在形か過去形かで、意味が全然違うから……
「俺と紗耶香さんは……、婚約していた」
私はそれを聞いて、思わず「うそ!?」と叫んだ。
「驚いたろ? まだ高校生なのに、婚約だなんてな……」
「な、なんで過去形なの?」
私は柏木君達の婚約についてはもう驚かない。当たり前だけど。私が驚いたのは、柏木君がそれを過去形で言ったからだ。
「はあ?」
「柏木君、今“婚約していた”って言ったよね? “婚約している”の間違いじゃないの?」
「おまえが驚いたのって、そこかよ?」
「うん……」
柏木君は可笑しそうにクスッと笑ったけど、私にとっては笑い事ではなかった。だって、現在形か過去形かで、意味が全然違うから……



