初恋の行方〜謎の転校生〜

「どういう事?」


私はココアを飲むのをやめ、思わず柏木君の顔に見入っていた。

“目立たないように”って、もしかして……


「だからさ、学校ではなるべくおまえに近付かないようにして、帰りも一緒のところを見られないように、ここで待ち合わせるようにしたんだ」


「“見られないように”って、佐藤君達に?」


「誰にも見られない方がいいと思うけど、特にあいつらだな」


「ほんとに? 本庄さんにじゃないの?」


「違うよ。何で紗耶香さんが出てくるんだ?」


「だって……」


本庄さんは婚約者なわけだし、本庄さんだって、“わたくしに隠れて一緒に帰る”とか言ってたから、てっきりそうなんだと……


「もしかして、それで泣いてたのか?」


「え? うん、まあそうだけど……」


と私は素直に認めた。本当はそれだけじゃないんだけど。


「そうか、ごめん。ちゃんと話すよ、紗耶香さんの事」