柏木君に寄り添いながら公園に入ると、「ちょっと待ってて」と言われ、私はベンチに腰を降ろした。ベンチは冷たくて、お尻がちょっと冷やっとした。


柏木君は、スタスタと自販機に向かい、何かの缶ジュースをひとつ買って戻って来た。

そして、それをカシャカシャと振り、プシュッとプルタブを引っ張ってから、「はいよ」と言って私に差し出した。

それは、温かいココアだった。


「ありがとう」

両手でそれを持つと、温かさが手に伝わり、心まで温まるような気がした。


柏木君は私の隣に腰掛けると、

「温かいうちに飲めば?」

と言った。


「柏木君のは?」

「俺はさっき飲んだから」

「あ、ごめんなさい、待たせちゃって……」

「それはいいから、まずは飲めよ」

「うん」


ココアを一口すすると、途端に甘さと香が口の中に広がり、とても美味しかった。と言っても、前に柏木君に作ってもらったココアとは、比べものにならないけど。