丁寧に並べられた文字を見ていると、だんだんと頬が緩んでくる。



女子高生が選ぶには、少し大人っぽいデザインの便箋。


文字の黒。



でもその淡いピンクが、書いた本人の柔らかさを表してるみたいで面白い。



「どこがおかしいんだ……?」



ゆっくりと視線を移しながら、勇人の言う部分を探した。




『もう諦めないと決めたから』



その言葉が、重く心に響く――――



『小さく大きく歌うよ』



その言葉が、羨ましいくらいに強い――――




「……『縦に流そう』?」





アイツ、本当に歌が好きなんだな――――――





いつの間に寝たんだろう?



夢を見た記憶はどこにもない。


その夜は、いつになく穏やかな気分でいられた気がした。