「奏ー!」



下駄箱に靴を入れていると、いきなり大声で名前を呼ぶ声が聞こえた。


聞き慣れたその声にすっと振り向くと、同じように靴を入れようとしてる子が見える。



「おはよう、彩乃。相変わらず元気だねぇ」


「何? そのおばさん発言!始業式当日にやめてよね」


そう言って微笑む彩乃に、あたしも微笑みを返した。




桐渓彩乃[きりたにあやの]は、1年から同じクラス。


長身に、天然パーマで且つ、天然ブラウンのふわふわロングヘアーが映えてる。




「奏は新しいクラスの確認した?」



綺麗な顔立ちに似合う、彩乃のアルトの声。



「まだだけど。また一緒のクラスが良いね」



そんな彩乃を見上げるあたしの声はソプラノ。



若干ちぐはぐして見えるあたし達。


だけど、2年前から続く彩乃との友情は

あたしにとって、本当に大切なんだ。