「失礼……しまーす。あ、と……頼城先生に用事があって、来ました」



職員室は、やっぱり苦手だ。


前に頼城先生に質問があって来た時も怖かったけど、今はそれとは別の意味で……嫌だ。



入った瞬間に流れる張り詰めた空気。


集まるようで集まってない視線。


よみがえる、中学の記憶。



たぶんそのせいで、“職員室”って響きが、苦手なんだ。



「奏……?」



声を詰まらせるあたしを、頼城先生が不思議そうに見た。



「……あ、そうでしたね。うっかりしてました。音楽室に移動しましょうか」



そう言うと、先生は立ち上がった。


ついてくるようにと目であたしに訴えて、そのまま歩き出す。