そんなこと、もう知ってる。

慣れない手を握り合い、1分2分、時間をかけて歩き進める。


話題に困り、はじまらない会話。


そのせいで流れ込む沈黙。


周りの雑音と、雪を踏みしめる音だけの世界が広がる。


何か話さないと、と思えば頭の中は真っ白になる。


デートってこんなに難しいの?


話すこと何にしようかって考えて大変なの?


とりあえず、なんでもいいから話そう。


パッと頭に浮かんだ言葉を口に出す。


「今日さ、映画見......あ」


声にしたとき、俺のジーンズのポケットの中で携帯が震えた。


手をつないでいない左手で携帯を開く。


[新着メール1件]


メールの受信ボックスの中には、まだ見ていない、


おそらく今来たであろう華恋からのメールがあった。