「りっちゃん、
りっちゃんってば!!」

聞き覚えのある声が俺の名前を呼ぶ。

布団から顔を出すと、そこには愛しい人の姿があった。

綺麗な二重の目が優しく俺だけを見つめている。

それを見て安心したのかわからないが眠気が増してきた。

「うるさい。寝させろ。」

悪い言い方だけど起こされた事に怒ってはいない。

そして、もう一度布団に潜る。

疲れてるんだよ。

最近、仕事が忙しくて。

お前もわかるだろ?

一緒に住んでるんだからさ。

心の中で呟きながら目を閉じていく。

だが彼女は寝させまいと俺に話しを続けてきた。

「ねえ、今日何の日か忘れてないよね?」

不安なのか声が強張ってるのに気づいた。

「覚えてるよ。集まるんだろ?10時に。」

忘れるはずがない。

「じゃあ、良かった。私用意してくるから。」

安心したのか声が明るくなった。

単純なやつ。

まあ、そこが好きなんだけど。

バタン

ドアが閉まる音が聞こえる。

彼女が部屋から出ていったのだろう。

それと同時に俺も重たい身体を起こす。

カーテンの隙間から光が差し込んで眩しい。