「証拠、は……?」


更なる証拠が欲しいとトゥエンティは言えば、これだから人間はと、繰り返された。


「わしはな、“疑似召喚”が使えるのじゃ!」


「疑似……?」


「召喚の一種じゃ、神話、もしくは精霊を召喚し、物に憑依させ、操る。高等な召喚術故、わしぐらいにしか使えぬのよ」


自慢するのが好きなのか、愉快げなシャルロッテは、持っていたテディベアを地面に置いた。


ちょこんと行儀良く座るテディベア。その後ろでシャルロッテが腕を広げ、すうと息を吸う。


【これ来たりて、なんのその。わしの糧りて、おいでませ】


エコーがかかったような、不思議と聞いていて安らぐ音色だった。


【氷の指揮者(ジエロ)よ、わしの声届くんば、その生き方をみせい】


詰めか、次の瞬間、俯き加減だったテディベアが頭をあげた。