(三) ひぐらしの鳴き声で雄大は目を覚ました。 辺りはオレンジ。窓から夕暮れの恩恵が世界の色を変えていた。 「あれ」 少女がいなかった。 思わず名前を呼ぼうとしたが、呼ぶ名前を聞いてなかったと気づく。 「ひまわり……」 自分が寝ていたベッド上にひまわりの造花が置いてあった。 それがまるで少女の写し身のようで、なんだか。 「笑ってくれたかな」 このひまわりのようにと、彼は思い馳せた。