右の頭がじっとドラゴンを見た。


『……』


むずがゆそうな顔をするドラゴンは、一歩も動けないらしい。


蛇神の右頭の目は金縛り効果がある。効いたことに良かったと軽く安堵しながら。


「さあ、ドラゴンちゃん。降参なさい。でないと、猛毒を浴びることになるわよ。左頭の口からは毒が――」


『……』


ドラゴンの口から火が出た。


火炎放射機以上の真っ赤な炎。
幸い、食らうことはなかったけど、食らったら最後、火傷じゃすまない。


身が、固まった。

ドラゴンの口が私に向かって開いている。その状態でさっきみたく炎を出されたら、バカでも分かるだろう。


「完敗だわ……」


がくりと膝をつき、絶望ポーズをした。