「お先 失礼しまーす」 カウンターの奥で女性と話すマスターに小さくそう言って、俺は店を出た。 生憎、外は大雨。 俺は天気予報を見ない。 「はぁ・・・」 どうしたものだろうか、この大雨。 いつも使うバス停まで走ったとしても、濡れるだろうな。 仕方無い、と俺は意を決して雨の中に飛び込んだ。 走るのなんて、何年振りだろうか。