「あ、あの。
急に押し掛けてしまって申し訳ありませんでした。」


彼女は、猫の診療を待つ間、
待合室で並んで座っている時に
僕の前に直立不動になっている。



「今思えば、すごく迷惑なことしてしまいましたっ
申し訳ありません。
あの、お仕事は大丈夫ですか…?」



またもや泣きそうになりながらうなだれて言った。




罰を受ける前の子どもみたいに首を竦めて縮こまっている彼女を見てたら
なんか急に笑えてきて
ちょっと笑いながら言った。





「折角、猫が助かったのに何でそんな暗い顔してるんだよ」




怒られると思っていた彼女は
えっ!?
と言って驚きながらバッと顔を上げた。


「猫、助かったんなら
結果オーライだろ?」



そう言うと彼女は
初めて笑ってはい!と言った。