永劫の罪人 光の咎人

 月夜に誘われ、ハミルは中庭へと足を運ぶ。

 おもむろに自分の手を見つめる。
 月の光を浴びて、青白くなった手を冷たく感じる。

 だからこそ、昼間の温もりが忘れられない。
 ハミルは強く手をにぎりしめる。

(……マテリアが、ここにいる)

 彼女の弾けんばかりの元気な声を、もう一度聞けるとは思わなかった。

 この世界にマテリアがいる。
 それだけで虚ろだった世界が、鮮やかに見えてくる。

(教皇になって失ったものが、こんな形で戻ってくるなんて)

 ハミルは静かに目を閉じ、昔に思いをはせる。

 小さい頃は、年の近い者が教会にいなかったから、マテリアたちと遊ぶことが一番楽しかった。

 それがいつからだろう。
 会えば会うほど、自分とは違う世界の人間だと気づかされ、苦しくなったのは。

 ずっとマテリアの隣にいたかった。
 けれど教皇になる前日、彼女に道を断たれた。
 だから――。

(もうマテリアを……失いたくない)

 月が雲に呑まれる。
 最後まで届いていた月光が消える一瞬、ハミルの笑みを妖しく照らした。