永劫の罪人 光の咎人

(見つけてしまった……)

 動揺して震えながら、ロンドはひとつひとつの文字を丁寧に見ていく。

 もしかすると、同じ名前の別人かもしれない。
 しかし、そんな願いはすぐに打ち砕かれる。

『捕える際に罪人は死亡。大罪を犯した裁きを、罪人の遺体に与えるよう国王が要請。二度とこのような大罪が起きぬよう、広場にて遺体を槍で突き立て、民衆への見せしめにした』

 未だ地に突き立ったままの槍の群れ。
 その地から甦ったマテリア。

 ここに書かれているのは、自分の知っているマテリアだと認めざるを得ない。
 ロンドは思わず息を呑み、眉根を寄せる。

(一体マテリア様は何を……)

 はやる気持ちを抑え、ロンドは続きを読んでいく。

 マテリアの罪が、目に留まる。

(……嘘……だ)

 信じられなくて、何度も読み返す。
 しかし彼女の罪が変わることはない。

 この罪が本当ならば、百年前に『永劫の罪人』と呼ばれ、語りつがれても仕方のないこと。
 思わず信じそうになり、ロンドは頭を振る。

(あのマテリア様が、そんなことをするはずが……)

 ロンドの脳裏に浮かぶのは、一点の曇りもない彼女の笑顔。
 こんな罪を犯して、あれだけ鮮やかに笑えるわけが――。

(――そういえば、マテリア様はこのことを覚えていないんだ。きっとハミル様も……だからあんな風に笑えるんだ)

 おそらく事実を伝えれば、今まで見てきたマテリアは消える。
 いつも自然体で、のびのびとして、見ている者に元気を分けてくれる彼女が。

 そんなマテリアを変えたくない。

 あわててロンドは本を閉じ、一番奥の棚に戻す。
 ランプの灯りは届かず、黒い本は闇に溶けて姿を消した。