永劫の罪人 光の咎人

「あれ?」

 本の山を崩していくと、下のほうに見覚えのない本が一冊。

 真っ黒な表紙の、題名も書かれていない本。

(こんな本なら、一度読めば覚えてる。他の本を持ってくる時に、一緒に挟んで持ってきちゃったのかな)

 これを読んだら、今日は終わりにしよう。ロンドは椅子に座り、黒い本と向き合った。

 表紙をめくると、大きな字で『王宮裁判記録』と書かれていた。

 はらり、はらり、とロンドが本を読み進めていく。
 そこには本を盛り上げようとする軽妙な言い回しも、情景を美しくつづる文章もない。
 淡々と悪事を働いた者の罪と、罪人に課せられた刑が記されているのみ。

 百年前の革命期には、あらぬ疑いをかけられ、多くの無実の人間が捕えられて処刑された。そうロンドはほかの文献で調べていた。
 そのせいか、冷たく硬いこの本から、彼らの悲痛な叫びが聞こえる気がした。

(天駆ける光の精霊よ、どうか彼らに救いの光を――)

 耐えきれずにロンドは本をめくる手を止め、静かに目を閉じて祈る。
 ランプが一瞬光を強め、祈りに応えた。

 深呼吸して気持ちを落ち着けると、ロンドは再び裁判記録を読み進めていく。

 本も後半にさしかかった頃。

 右ページの冒頭に、『マテリア』の文字が目に飛びこんできた。