永劫の罪人 光の咎人

 ひと通り森で採れる薬草を摘んだ後。
 ハミルが木陰に腰を下ろし、その場に採った薬草を並べると、ロンドを呼び寄せて薬草の扱い方を教え始めた。

「いいですか、ロンド。ここにある物は、今の時季にしか採れない物です。採った後は三日ほど外に干して、ビン詰めにして保存してください」

「はい、わかりました」

 ロンドがハミルの隣に座って話を聞き、持ってきた真新しい筆記帳に鉛筆を走らせていると……途中でハミルが額をぬぐい、深く息を吸いこんだ。

「あの、大丈夫ですか?」

 心配するロンドへ、ハミルは恥ずかしそうに笑った。

「ひさしぶりの薬草採りで疲れました。少し張り切りすぎましたね……次期教皇だった頃は、よく息抜きがてらに山へ来ていましたが――」

 次第にハミルの声は調子が低くなり、たまに見せる寂しげな顔でマテリアを見つめた。
 彼女はほかの二人と一緒に、急な斜面に生えた薬草を採っている。

「――教皇になった後、私は完全に教会に縛られて、自由は一切なくなりました。教皇になってからは、森へ薬草を採りに行くことも、マテリアとアスタロ、三人で会ったこともありません」

「ハミル様……」

「教皇になる前から、そうなるのはわかっていました。だから……私は前教皇が亡くなり、正式に教皇となる前日、マテリアに告白したんですよ。教皇を辞退したいと」

 言葉を止め、ハミルは独り言のように声をひそめた。

「……私は教皇になれるような人間じゃない。そう言ったら『ハミルが教皇になれなかったら、誰も教皇になれないだろ』とマテリアに怒られました。実は彼女に背中を叩かれなければ、私は教皇の立場から逃げていたんですよ」