熟考する教皇へ、ハミルはさらに言葉を添える。

「私たちの安全を保障する、腕のよい護衛がおりますので……先日ロンドが村へ行ったときの護衛が、まれに見る強者だったそうですから」

「う……む、報告は受けておる。ハミル殿がそこまで言うなら、明後日の外出を許可しよう」

「ありがとうございます」

 柔和に微笑むと、ハミルがロンドに目配せしてきた。

 ハミルが明後日、マテリアとゆっくり会うために薬草採りを提案しよう、と言い出したときには驚いたが……うまくいってよかった。ロンドは安堵で胸をなで下ろす。

 すでにハミルの口からマテリアたちに会う約束は交わした。
 ガストにもロンドから口裏を合わせるように頼んである。

 ふとロンドは頬をゆるませた。

(あさって、楽しみだな)

 今まで次期教皇として、気負うことが当たり前だった。
 それだけに、マテリアたちと一緒にいると自分の立場を気にせず、気楽にいられる。そんな時間を作れることが嬉しい。

 ロンドは奥の間から出るまで、喜びで笑わぬように、顔へ力を入れる。
 だが廊下に足を乗せたとき、ロンドは人知れず笑みをこぼした。